なぜ三浦刃物店は、ネットで売る前に「実店舗」へ呼ぶのか?
「世界中に日本の良いものを届けたい」と、意気揚々と越境ECを始めたものの、思うように売上が伸びない……。そんな悩みを抱える伝統工芸品店やメーカーは少なくありません。
実は、越境EC成功の鍵は、オンラインの施策だけでは完結しません。名古屋の「三浦刃物店」が証明した、「インバウンドでの成功体験を、越境ECのブースターにする」という科学的な逆転戦略をご紹介します。
1. 越境ECがぶつかる「信頼の壁」
ネットショップにどれだけ高精細な写真を並べても、海外の顧客にとって、高価な日本の包丁を一度も触れずに買うのは勇気がいることです。「本当に切れるのか?」「自分に合うのか?」という不安が、決済ボタンを押す手を止めさせます。
2. インバウンドを「信頼のブースター」に変える
ここで三浦刃物店が取った戦略が、「品番SEO」による実店舗への集客です。 ネットで品番を調べて来店した外国人客に対し、彼らは以下の「体験」を提供します。
実演・ワークショップ
目の前でトマトを透けるほど薄く切る実演。
魂のカタカナ接客:
難しい英語は使わない。JETTA式の「ディス・イズ・ハガネ(これは鋼だ)」「シャープネス(切れ味最高)」という自信に満ちたカタカナ英語。
この「伝わった!」という瞬間の感動が、顧客の脳内に「この店から買えば間違いない」という強固な信頼(アンカー)を打ち込みます。
3. UGC(SNS動画)が「越境EC」の入り口になる
店頭での感動体験は、その場でスマホに収められ、リール動画や写真として世界中に拡散(UGC)されます。 これを見た海外の視聴者は、こう思います。 「この店に行きたい。でもすぐには行けない。……それなら、この店が運営しているサイト(越境EC)から買おう」 あるいは、帰国した顧客自身が「あの大将が勧めてくれた砥石も、やっぱりあそこのECサイトで買おう」とリピーターになります。
4. 結論 インバウンドは「越境EC」のショールームである
三浦刃物店の事例が教えてくれるのは、インバウンドと越境ECは「対立」するものではなく「循環」するものだということです。
オンライン(品番SEO)で存在を知る。
オフライン(実店舗)のカタカナ接客で信頼を確立する。
オンライン(越境EC)で、世界中から継続的に購入される。
「越境ECから始めてみたけれど、いまいち手応えがない」という方は、一度「接客」という原点に立ち返ってみませんか? インバウンドで客の心を掴む瞬間さえ作れれば、あなたのECサイトは、世界中にファンを持つ最強の自動販売機へと進化します。